保険会社と顧客の両方に利益をもたらす、生命保険の対象商品と市場分割の使用について 第1回

2018年9月1日

本記事は、アメリカアクチュアリー会(SOA)の雑誌The Actuaryに記載されている記事「Bull’s-eye!: Using targeted products and market segmentation in life insurance to benefit both insurer and customer」の翻訳である。この記事は3回に分けての配信予定であり、その第1回である今回は、「Segmentation at Work」の1節について配信する。

 

保険会社と顧客の両方に利益をもたらす、生命保険の対象商品(Targeted Products)と市場分割(Market Segmentation)の使用について

 

市場分割(Market Segmentation)は決して新しいトピックではなく、特に革新的なトピックでもありません。むしろ、「市場分割」(Segmentation)は1960年代初めからマーケティング研究の重要なマーケティング概念であり、焦点と考えられていました。市場は不均一で雑多であるため、全ての顧客に大きな魅力をもたらす唯一の商品を開発することはほとんど不可能です。たとえそのような商品が作られたとしても、あるいは商品が広く市場に出回っていても、異なる顧客はその商品に異なる動機または用途を持つ可能性が高いです。

他業界での「市場分割」

生命保険業界の「市場分割」について掘り下げる前に、多くの業界で普及してきた「市場分割」の使い方からヒントを得ることができます。1920年代にゼネラルモーターズは市場分割戦略の有名な例である「あらゆる購買層と目的に合った車(a car for every purse and purpose)」を生産することにより、フォードを自動車販売で追い越しました。より最近では、クレジットカード業界が顧客の過去の信用のある行動傾向に基づいて顧客を「市場分割」し、対象となる勧誘メッセージや商品を送ったり、配当やキャッシュバックをしたりしています。

 

保険業界に近い業界でも、すでに機能している「市場分割」の例があります。例えば自動車保険会社はニッチ市場(特定のニーズを持つ規模の小さい市場)に対応するために進化しました。例を挙げるとUSAA(United Services Automobile Association)は軍とその家族に保険を提供し、Progressive(保険会社名)は事故率が高いドライバーに保険を提供します。これらの特定の市場にサービスを提供することで、企業は選ばれた「市場分割」に向けて販売するので、販売効率と顧客満足度を向上させることができ、そういった顧客のニーズに合った商品を提供することができます。

また生命保険業界でも既に「市場分割」するようなことは見受けられています。以前は、クラスター分析が保険数理的なモデリングの最前線に持ち込まれており、特に保有契約のデータ圧縮に使用されています。このクラスター分析の考え方は、根本的には市場分割と同じものです。クラスター分析の手順は、グループを作り(この場合は保有契約のグループ)、契約に関する特徴を利用して似通った契約のグループが作り出されます。含まれている契約を特徴付ける単一のレコードが、各々の「市場分割」(グループ)を代表します。これにより精度を損なうことなく、より少ない数のレコードでプロジェクション(収支予測)を得られることができます。このクラスター分析の目的は時間のかかるプロジェクションでの実行時間を短縮することですが、ビジネスの顧客側にも同様のアルゴリズムを取ることができます。

 

次回は、同記事「Bull’s-eye!: Using targeted products and market segmentation in life insurance to benefit both insurer and customer」の第2回を配信予定である。

 

注. 本記事の日本語著作権は株式会社ヨシダ・アンド・カンパニーに帰属しており直接のメール会員、当社の教育講座受講生以外の外部へのコピーまたは電子媒体での流出を禁じます。当法人は翻訳の正確性について一切の責任を負いません。

この記事を最後まで読まれたい方下記よりメール会員登録をお願いします。