【YouTube更新】お得なキャンペーンのお知らせ
こんにちは。
東京国際アクチュアリーアカデミーです。
いよいよアクチュアリー試験まで残り約2か月を切りました。いまが最終準備に向けて、学習の成果を最大限に発揮する時期です。
皆様勉強の進捗はいかがでしょうか?
すでに計画通りに学習が進んでいる方もいるかもしれませんが、一方で試験範囲の広さや学習内容の難しさに直面し、思ったように進めず、焦りや不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
アクチュアリー試験は、数学的知識や経済学、保険理論、統計など多岐にわたる分野を短期間で深く理解する必要があるため、独学では学習のスピードが遅く感じられることもあります。
しかし、現時点で進捗に不安がある方も、まだ十分に時間があります。
重要なのは、学習の質を高め、効率的に知識を習得することです。今からでも戦略を立て直し、集中して学習に取り組むことで、大きな成果を得ることができます。
当校では試験終了日まで全科目30パーセント引きキャンペーンを行っております。
是非この機会にご受講ください!
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東京大学数学科の同窓会が東大駒場で開催されました
2024年10月19日(土)に、東京大学数学科の同窓会が東大駒場で開催され、昨年に引き続き、私も参加しました。
まず最初に大講堂で特別講演が行われ、その後、数理科学研究所などのコモンルームで懇親会が開かれました。参加者も多く、非常に盛況だったと思います。
久しぶりに東大で講義を聞き、巨大なホワイトボードや黒板にチョークで数式を書いていく様子を見て、40年ほど前に数学科で学んでいた頃を思い出しました。 時が経ちましたが、東大数学科は今も健在で、多くの優秀な数学者を輩出しています。
また、同期の靴岡東大名誉教授も昨年に続き参加され、少しお話しする機会がありました。
靴岡教授は、日本における数理ファイナンスの第一人者であり、東大のアクチュアリーサイエンスプログラムの推進にも大きな役割を果たされた方です。 私も非常勤講師として、リズム科でアクチュアリーに関する講義を担当した経験があります。
お互い年を取りましたが、こうして数学の世界で話ができることを非常にありがたく思っています。
懇親会では、他の先生方やアクチュアリーのコンサルタント、博士課程の学生とも話をしました。ただ、少し気になったのは、東大数学科からアクチュアリーの道に進む人が減ってきているという印象を受けたことです。
東大の数学科の学生がアクチュアリーの道を目指す数が減少している背景には、いくつかの要因が考えられます。 最も大きな要因は、楠岡教授の定年退職により、アクチュアリーサイエンスの講座が事実上消滅してしまったことだと思います。
楠岡教授の人脈を通じて、多方面からアクチュアリー業界の実務者に講義を依頼していたのですが、その道が閉ざされ、数理科学研究所内でもアクチュアリー関連の講座がなくなった結果、アクチュアリーという職業自体を知らない学生が増えてしまったのではないかと感じます。
それでも懇親会では、毎年少数ながらアクチュアリー業界に進む人がいるという話を耳にしました。
しかし、本来であれば東大ブランドを持つ学生が、日本生命や大樹生命といったトップ企業、またPWCやEYといったトップクラスのコンサル会社、あるいはプルデンシャルやメットライフなどの外資系企業に就職するのが自然なはずですが、意外と中小の保険会社に入社しているようです。これは、適切なキャリアアドバイスを提供する体制が整っていないことに起因していると思います。
私の東京国際アクチュアリーアカデミーでもインターンシップ生たちと就職活動や転職の話をしますが、しっかりとしたアドバイザーがいないと、東大の卒業生でも就職活動で苦戦することがあります。
また、学問に没頭しすぎて「専門バカ」になったとまでは言いませんが、数学に集中する学生は、ビジネスで必要なコミュニケーション力が不足していると見なされるという、妙な噂が立っているのも事実で、これは非常にもったいないことです。
私が1976年に卒業した当時も、1学年50名ほどの数学科生の中で5名程度がアクチュアリーとして保険業界に進みましたが、コミュニケーション力の不足を理由に落とされたという話は聞いたことがありませんでした。
当時と比べて、就職活動は非常に競争が激しく、かなりの時間を割かないと失敗してしまうこともあり得ます。 最近では「学知家」という言葉も聞かれるようになりましたが、当時はそういった概念はありませんでした。
東大の学生といえども、他の大学と差別化されることなく、学力的にはトップクラスであっても、他の大学の学生と同様に、インターンシップや面談に多くの時間を費やさなければ、トップ企業から内定を得ることが難しいのかもしれません。
また、言葉遣いも問題です。最近の大学生は、敬語を正しく使えないことが多く、上司や年上の人に「分かりました」といった表現を使うことがあります。 正確には「かしこまりました」や「承知しました」といった表現が適切ですが、そういった教育を受ける機会が少ないようです。
さらに、面接時に髪が乱れていたり、髪を奇抜な色に染めていたりと、自由な大学生活では許されることも、ビジネスの世界では好まれません。 そのような外見が原因で、人事に悪い印象を与えてしまうことがあるようです。
ですので、ぜひ我々の転職サポートや就職活動サポートを利用して、ビジネスマナーや外見の訓練を受けていただきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
代表取締役社長 吉田 英幸
Yesterday, on Saturday, October 19, 2024, the alumni reunion of the Mathematics Department of the University of Tokyo was held at the Komaba campus. I participated again this year, just as I did last year.
The event began with a special lecture in the main hall, followed by a reception held in the common room of the Institute of Mathematical Sciences. It was quite a successful event with many participants.
Listening to a lecture at the University of Tokyo for the first time in a while reminded me of my time studying in the Mathematics Department, about 40 years ago, when large whiteboards and blackboards were filled with chalked equations.
Despite the passage of time, the Mathematics Department of the University of Tokyo remains strong, producing many excellent mathematicians.
Professor Emeritus Kusuoka, one of my contemporaries, also attended again this year, and I had a brief conversation with him. As you may know, Professor Kusuoka is one of Japan’s leading scholars in the field of mathematical finance and played a significant role in promoting the Actuarial Science Program at the University of Tokyo. I have also had the opportunity to lecture part-time on actuarial science in the Department of Mathematics.
Though we have both aged, I am very grateful that we can still talk about the world of mathematics together.
During the reception, I had conversations with various professors, actuarial consultants, and Ph.D. students.
While that was enjoyable, I noticed something concerning: it seems that fewer students from the Mathematics Department at the University of Tokyo are pursuing careers as actuaries.
Certainly! Here is the English translation:
It seems that the decline in the number of students from the University of Tokyo’s Mathematics Department pursuing actuarial careers can be attributed to several factors.
The most significant reason, I believe, is the retirement of Professor Kusuoka, which led to the effective discontinuation of the actuarial science courses.
Professor Kusuoka had leveraged his personal network to invite practitioners from various areas of the actuarial industry to lecture, but with his departure, that pathway has been closed, and the actuarial courses in the Institute of Mathematical Sciences have been discontinued.
<>pAs a result, more students are unaware of the actuarial profession.That being said, I heard during the reunion that a few students still enter the actuarial industry each year.
However, it would be natural for students with the University of Tokyo’s brand to join top companies such as Nippon Life, Daido Life, or leading consulting firms like PwC and EY, or even multinational firms like Prudential and MetLife.
Yet, I noticed that some are joining smaller insurance companies.
I believe this stems from the lack of a proper system for providing career advice.
At my Tokyo International Actuary Academy, we often discuss job hunting and career changes with interns, and even University of Tokyo graduates can struggle in job searches without proper advisors.
I’ve also heard that some students become overly focused on their studies, and while it’s extreme to call them “narrow-minded specialists,” there’s a strange rumor that students with a mathematical mindset are often viewed as lacking the communication skills necessary for business.
This is truly a missed opportunity. When I graduated in 1976, although it was quite a while ago, about five students out of a class of 50 in the Mathematics Department went on to join the insurance industry as actuaries.
There was never any talk of someone being rejected due to poor communication skills.
Compared to back then, the job hunting process has become much more competitive, and it’s not surprising that those who don’t dedicate enough time to it might fall behind and struggle.
Terms like “academic intelligence” didn’t exist back then, and even University of Tokyo students, though top-ranked in terms of academic ability, were not differentiated from students from other universities.
Without spending a lot of time on internships and interviews like others, they might not receive offers from top companies.
Additionally, there’s the issue of language etiquette. Recently, more university students fail to use polite expressions properly, saying things like “I understand” to superiors or older individuals, when they should say “I will comply” or “I acknowledge.”
They aren’t taught these things. Furthermore, students attending interviews with disheveled hair or dyed in strange colors may be acceptable in the free academic environment of universities, but such appearances can negatively affect their chances in the business world.
I suspect these issues are leading to their failures in job hunting.
Therefore, I highly recommend that students make use of our career support services to receive proper training in business etiquette and grooming. Thank you very much.
Here’s the English translation:
Another reason for the decline in the number of aspiring actuaries is that students who have studied advanced mathematics often don’t fully understand what an actuary’s work entails, whether it is exciting, and how their skills can be applied in business. This lack of understanding is a significant factor.
To address this, I previously created a video titled “M&A and Actuaries.”
During my time at PwC, I worked on many projects, but the one that I found most rewarding, and that generated the most revenue, was M&A (mergers and acquisitions).
Actuaries play a key role in generating profits from such projects, and this is reflected in their bonuses, which makes the work particularly attractive.
I created a video that portrays the image of M&A work, combining both fiction and non-fiction elements.
I would like to attach a simplified version of this video here.
I hope that by watching it, more talented individuals with strong mathematical abilities will see how exciting and rewarding a career as an actuary can be, and aspire to become actuaries themselves.
日本アクチュアリー会の2022年度資格試験情報が公開されました
公益社団法人日本アクチュアリー会より 2022年度資格試験情報が発表されました。
以下をクリックして、同会の当該ページにてご確認下さい。
https://www.actuaries.jp/examin/info.html
日本アクチュアリー会 2021年度資格試験結果について
日本アクチュアリー会資格試験のCBT移行後の運営概要
公益社団法人日本アクチュアリー会より、2022年度以降の資格試験のCBT移行後の
予定が公表されています。
詳細は、以下リンク先の同会からのアナウンスをご覧ください。
https://www.actuaries.jp/info/20220311.html
5Gと保険 第3回
本記事は、米国アクチュアリー学会(AAA; American Academy of Actuaries)の機関紙Contingenciesに掲載されている、「5G and Insurance—A Match for the Ages?」という記事の翻訳である。この記事は3回に分けての配信予定であり、今回はその第3回である。
近年、最新世代のワイヤレスネットワーク技術である5Gが世界中で展開され始めている。5Gは4Gと比較して速さ、遅延、接続密度など多くの面で優れた性能を発揮し、農業や金融、物流など多くの分野での活躍が期待されている。
保険の世界においても、5Gと4IRの技術が合流することで、影響を受けると考えられている。本記事では、5G技術の範囲、保険を含む業界への影響、そして何を期待されているかについて説明する。以下、「」内は引用。
「現実の確認」
5Gは、すべての旧世代ネットワークにすぐに取って代わる補完的な技術ではない。かなりの年数にわたり、旧世代ネットワークとと共存することになることが予想される。5Gの展開は現在、地政学的、技術的な複雑さに巻き込まれており、いくつかの地域で立ち上げ計画が頓挫したり遅れたりする可能性がある。5Gの展開は投資と性能のトレードオフを伴うため、CSPsは立ち上げに際してさまざまなアプローチをとっている。いくつかのCSPsは最高の体験を提供する高周波電波を選択するが、それができるのは一部の都市に限られている。一方、投資額の少ない低周波数及び中周波数を選択することもできるが、しかしその効果は比較的低下する。このようなアプローチの違いは、実際の5G体験、その一貫性、またはその両方を阻害することになるであろう。5Gがすでに利用可能な国でも、性能のベンチマークは著しく異なっている。
産業界は今なお4IRと5Gの最も効能あるユースケースを探している。これらの中核的なユースケースの多くは本質的に概念であり、そして費用対ビジネス価値および採用の定性的および定量的分析はまだ実行されていない。導入には数年がかかる可能性がある。継続的なリスク監視は全ての業界を横断して、キラーユースケースとして予言されつつある。コネクテッド・インシュアランス・ビジネスのコンセプトは数年前から議論されており、4G接続が可能になった今でも、そのコンセプトが一般に普及したとは言い難いことも無視できない。このような限定的な採用は、5Gが万能薬となる接続性に関する技術的制約のためだけなのか、確認する必要があるだろう。一方、その他の技術的互換性の問題、コストやプライバシーに関する人間の懸念、保険契約に関する規制の明確化の必要性、コネクテッド・エコシステムのガバナンス原則の欠如、あるいはそうしたエコシステムにおいて保険会社が果たす役割などが原因であれば、単に5Gが利用可能になったからといって、その上昇を改善できるわけではない。
保険会社は伝統的にリスク後の修復モデルに従っており、継続的な追跡の概念は比較的新しい概念である。保険会社によって行われた最初の試みは新しい接続パラダイムを処理するためにいくつかの線において従来の商品を微調整することであった。この微調整による変更点はリスクデータ共有の窓口を開いた顧客に対して報酬を与え、リスク事象が発生した場合に積極的に介入することに重点を置いたものであった。これらは、保険業界が保守的な方針で運営されていることを考えると、革命的なことであった。このシナリオを考慮すると、保険の既存の契約上の義務のうち、どれだけが並外れた5G機能を実行する必要があるかは、熟慮すべき点である。どのデータを消費するか、どのくらい消費するか、何を予測するか、またはどのくらい正確に応答するかという問題は、継続的なリスクデータを利用するための条件を明確に定義した全く新しいコネクテッド保険商品が導入されるまで残るであろう。
今後の旅
小売、運輸、製造、医療業界は、5Gの能力を活用するためのユースケースを実験するフロントランナーである。小売において強い顧客の関与、輸送における関連技術の成長、製造とヘルスケアにおける極端な重要性と時間的敏感性はこの追求のために核心にあたる推進力である。保険会社は5Gを段階的に導入する予定のサービス、ビジネス・プロセス、製品を列挙した包括的な5G戦略を策定する必要がある。保険会社は、中核的な業務において5Gのユースケースの実験を急いでいるようには見えないが、顧客体験に重点を置いたユースケースが保険業界での導入の先陣を切ることになりそうである。データトラフィックの増大により、保険会社は、高速データの受信、保存、分析、インテリジェンスの抽出を行うアプリケーションをアップグレードし、適切なアクションを迅速に開始することが求められるであろう。
SRIVATHSAN KARANAI MARGANは保険を専門とするコンサルタントとしてTata Consultancy Services Limitedで働いている。
注. 本記事の日本語著作権は株式会社ヨシダ・アンド・カンパニーに帰属しており直接のメール会員、当社の教育講座受講生以外の外部へのコピーまたは電子媒体での流出を禁じます。当法人は翻訳の正確性について一切の責任を負いません。
2021年度資格試験合格者の発表
2022年2月15日に、公益社団法人日本アクチュアリー会より
2021年度資格試験合格者が発表されました。
以下をクリックしても、同会の当該ページにアクセスできます。
https://www.actuaries.jp/examin/info.html
第3回 アクチュアリー無料ガイダンス
東京国際アクチュアリーアカデミーを運営する
(株)ヨシダ・アンド・カンパニー代表取締役社長の吉田英幸です。
アクチュアリー試験まで早いことに残り4か月を切りましたね。
さて、東京国際アクチュアリーアカデミーの主催する
アクチュアリー無料ZOOMガイダンス(第3回)に参加しませんか?
アクチュアリーに興味がある方、東京国際アクチュアリーアカデミーに興味がある方は、ぜひご参加ください。
アクチュアリーとはどのようなものなのか、勉強方法を教えてほしい、
独学では限界がある?など小さな疑問にもお答えします!
当社スタッフと当校講師陣を代表して
三菱信託時代に何十人もの年金アクチュアリーを育てて試験に合格させたトップクラスの佐野先生が、みなさまのお悩み解決をサポートしてくれます!
佐野先生による年金数理の講義が気になる方にもお勧めです。
さらにはご好評につき5科目同時合格を達成した
当校の優秀な現役インターン生による必勝の合格方法のお話も聞けます!
ここでしか教えられない合格のマル秘情報盛りだくさんです。
今年こそアクチュアリー試験に合格したい、レベルを上げたい、
と思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思います。
そんな方に、このガイダンスはきっと役に立ちます。
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開催日時
2021年8月25日 18:00-19:30
開催形式
オンライン開催(Zoom)
※詳細は、申込フォーム送信後の返信メールにてご案内いたします。
-ガイダンス内容
・学長 吉田 英幸からのご挨拶
・講座のシステム紹介
・佐野先生のプレゼンテーション
・全科目合格!現役大学生インターンによるタメになる話(録画配信)
・FAQ
それ以降は質疑応答を個別に行い、質問が尽きるか予定時間に達した時点で終了予定です。
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-申し込み方法
申し込み締切日時は2021年8月25日午前12時までです。
-注意事項
ガイダンスのZoom画面は録画し、プライバシーに配慮した処理をした上で後日YouTubeにて配信いたしますので、予めご了承ください。
途中参加、途中退室も可能です。
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ご不明な点がございましたら、
些細なことでもお気軽にメールまたはお電話にてお問い合わせください!
メール: secretary@yoshidaand.co.jp
TEL: 080-4339-4650
当社代表取締役社長 吉田英幸のアクチュアリー半生の公開
雑誌『数学』/日本数学会編 51(3)1999.07「企業内の仕事・研究と数学」に寄稿した記事「私の生保アクチュアリーとしての23年間」 を公開いたします。
1.入社
私は、1976年4月に明治生命保険相互会社に入社し数理部に配属になり、いわゆるアクチュアリーの卵として仕事をすることになりました。アクチュアリーについては、リクルートの雑誌で確率・統計を使う仕事と紹介されていましたので、確率論を専攻したわたしとしては最適と思い保険会社を就職先として選びました。入社してみると、4月は決算の真っ只中で、全員が電卓やそろばんで、難しそうな計算を大変忙しそうにやっていました。それが後になって、保険料、責任準備金、配当準備金、所要額などという概念であることが分かってきました。これらを理解するには、保険数学というアクチュアリー試験の必須科目の知識が必要ですが、入社前に数学Ⅰ(確率論)と保険数学Ⅰは合格していましたので、実務と本の知識を合せて理解する事ができました。コンピューターについては、数理部のアクチュアリーには電電公社(現NTT)のタイムシェアリングマシンの「デモス」という機械が開放されており、色々なプログラムを作りました。なかでも一年目として仕事に役立ったのは、この年から業界に導入された保険の下取り制度(転換制度)の、商品別、加入年齢別、経過別の転換価格の計算でした。夏休みを返上して汗を流して取り組むこと1ヶ月余りで完成し、私の計算した表が早見表として冊子に印刷され全国の営業店舗に発送されました。この時は本当に仕事をやったという充足感で満たされました。冬になると、またアクチュアリー試験がやってきました。直前の集中勉強で幸いにも、保険数学Ⅱと法律をパスすることができ、これで全6科目中4科目を合格しました。そうこうするうちに、一年目の会社生活はあっという間に終わりました。
2.留学・国際業務部時代
2年目のある日上司によばれ、米国の大学院に留学する気はないかといわれ、躊躇することなく志願しました。行き先はボストンのNortheastern University、Graduate School of Actuarial Scienceでした。受講科目は当時10Partsあったアクチュアリー試験の全科目を網羅するように組まれていました.アメリカのアクチュアリー試験は春(5月)と秋(11月)の年2回制度になっており、それぞれ、受験できる科目が限定されていました。9月から授業が始まり、Part3(Theory of Interest、とFundamentals of Numerical Analysis)の講義を受けました。やがて、11月になり第一回目の受験になりました。Part1(日本の教養課程の数学)、Part2(確率・統計)は、あるがままの実力で受けました。結果は、全3科目合格でした。アメリカ人がびっくり仰天していました。後期は、Part4(Life Contingencies)、Part5(Mortality Table Construction、Risk Theory、Graduation)、Part7(マクロ経済等)を受講しました。夏休みになると、デラウエア州ウィルミントン市のALICO本社で実務研修を受けました。こうして、留学一年目は終わりました。2年目以降になると、科目はもはや数学ではなく、保険・年金の実務レベルの専門知識になりました。論述式の後期科目は何といっても英語のハンディキャップが日本人には大変な重荷でした。そのために、カリフォルニアのコンサルティング会社でプライシングの実務研修を受けたり、ハワイの子会社で決算の実務を経験したりして、最終的に米国の正会員(FSA)になったのは1983年5月でした。帰国後、国際業務部所属で、再保険とか、米国子会社の予算・収支予測・決算などの業務を主として出張べ一スで支援しました。
3.主計部・主計課時代
1986年9月から営業研修を4ヶ月やり、翌年87年1月から主計部・主計課所属になりました。営業研修で日本の商品の現状と事務の実態を知るのに役立ちましたが、なにしろ10年近くアメリカの保険の世界で生きてきた自分にとって、日本のアクチュアリー業務は全く異質なカルチャーショックでした。それは自由市場における保険業と護送船団方式といわれる規制市場における保険業の違いそのものでした。リハビリをかねて、仕事はエクイダブル日本法人との再保険協定決算からはじまりました。明治生命本体の決算は、副長としてオーバービュー的に全般をヒアリングする形で入り込んで行きました。何分アメリカのAnnual Statementに慣れ親しんでいた私にとって、日本の決算書類の仕組みと日本の規則を理解するのにかなりの時間を要しました。生保協会の色々な委員会の資料が回覧されて来ましたが、内容が分かるようになるまで大変でした。それでも、いきなり団体年金専門委員会の委員を任され、協会活動というものに参加させて頂くようになりました。主計課の仕事は会社の数理的な経営数値を作成し、資料を頻繁に常務会に上程したり、大蔵省保険一課に色々な報告資料を作成して提出する大変重要な役割と責任を持っていました。定例予測業務のライン業務の他に、適宜必要に応じて配当財源計算などを要求されました。副長として実際の計算を経験したのち、90年4月に主計課長になりました。管理職として初めてのポストでした。肩の荷がグッと重くなったのを感じました。人を束ね、会社内外の関連部門とタイムリーに連携して組織を動かし、経営のトップに正確な数値情報を期限までに報告するように運営するのに慣れるまでしばらく大変でした。
4.法人契約設計部時代
「お前も年金の世界を勉強して来い」と上司にいわれ92年の異動で法人契約設計部所属になりました。アメリカではMcGillのFundamentals of Private Pensionsを読んでいましたので企業年金の制度的知識・積み立て方式の算式については、ある程度の知識はありました。しかし、ここでも日本の年金制度は独自の制度体系になっていました。税制適格年金の概念はアメリカから来たものですが適格要件や制度設計は全く日本独自のものでした。厚生年金基金については、公的年金の一部を代行しそこに上乗せで企業独自の加算部分を積み上げるもので、アメリカには全く無い形態でした。設立許可要件は複雑な法律になっており、一朝一夕でマスターできるものではありませんでした。私もよわい40歳になり、基金の制度試算。決算・再計算をコンピュータに向かって若い人と一緒にいくつか担当させてもらいましたが、夏場の決算は夜の11時過ぎになる日が連続し土日出勤も当然となっていて体にこたえました。93年は設計グループリーダーをやり、適格年金・基金・アメリカのFAS87計算と数多くの分野を管理し、かつ顧客の所に説明に出張に行ったりしました。この他に、団体信用保険も部の担当で、重かったのは国民金融公庫の団信でした。役所との関係もあり、適格年金は国税庁、基金は厚生省と常に相談しながら許可を受けた上で仕事を進める必要がありました。こうして、3年が過ぎました。
5.主計部収益システム開発グループ時代
95年4月の異動で、主計部に戻り、今度は収益システム開発グループリーダーとなりました。ここの仕事は、主計課と違ってライン業務はあまり持っておらず、支社別収益管理システムの構築、ALMシステムの槽築、保険計理人の意見書に使われる、責任準備金の十分性検証の将来収支分析(キャッシュフローテスト)、配当の検証のアセットシェア計算、死差益分析、商品別収益分析などの業務でスタッフ的業務がメインでした。仕事を初めて半年した所で上司の常務が社団法人日本アクチュアリー会の理事長になることが業界として決まり、常務はわたしを事務局長に指命しました。
6.日本アクチュアリー会事務局長時代
95年10月から98年3月まで、収益システム開発グループの業務に加え、社団法人日本アクチュアリー会の事務局長を兼務する事になりました。事務局は文京区小石川にあり、数名の女性スタッフと、生保・信託/損保の各社から出向で派遣された男性アクチュアリー副事務局長と私が統括責任を持つ事務局長で構成されていました。いきなり、派遣されて何をやって良いのかわかりませんでしたが、女性スタッフがベテランの方が多く助かりました。約3000人いる会員への定例的事務サービスは、女性スタッフがスムーズに処理していました。事務局長の仕事は毎月一回ある理事会の議案作りと組織の運営でした。保険行政の自由化の時代の流れの中で、生命表の作成が生保協会からアクチュアリー会に移管されることになり、最初の仕事は標準責任準備金計算用の生保標準生命表1996の作成体制を会としてどうするかでした。結果的には調査委員会と、学識経験者を含む諮問委員会を立ち上げて対応しました。同時に喫急の課題はアクチュアリーの国際化の流れの中で、海外主要国発案での国際アクチュアリー会フォーラム(IFAA)が創設され、日本もその正会員として加盟するための、諸手続きを早急に進める必要がありました。まずは、行動規範の改定でした。また、実務基準制定のプロセスがあることも条件で日本の実態を文書で説明しました。96年3月理事長代理でワシントンのIFAA代議員会に参加し、コミツトメントベースでIFAAの創立メンバー国として加盟承認となりました。引き続き定款の英文作成、懲戒規則の制定などの手続きを国際関係委員会。事務局委員会の力を借りて推進して行きました。事務局にはインターネットのメールが交信できる体制を作り、海外特にIFAAの事務局とは頻繁に交信しました。最終的には当会の懲戒規則がIFAAの条件を満たしている事が承認され真のIFAA正会員となりました。年次大会、総会、選挙等国内イベントをクリアし、試験の合格発表も当会のホームページで行うようにしました。懲戒規則は、日産生命の倒産で予期せず実際に発動されることになりました。99年8月当会は創立100周年大会をAFIR/ASTIN/IAAと三つの国際会議と合せて開催することになりました。98年3月の理事会で上司の理事長は辞任し、この大役を新理事長にバトンタッチしました。同時に私も退任することになりました。
7.生保人としての終止符
98年度も私は社業は引き続き、収益システム開発グループリーダーで4年目を続投することになりました。今まで、事務局業務で大半の時間を取られていたので、本腰で新支社別収益管理システム槽築等に取り組みました。ところが、半年たって、同年10月付で人事異動があり、職務は保険計理人付に任命されました。保険計理人の職務を補佐するのが役割で、大変名誉で責任のある仕事と受け止めました。ところが12月半ば一本の外線電話が私のデスクに入りました。ヘッドハンターからのものでした。今までも何度か経験はありましたが、すべて断ってきました。今回もそうなるかと思っていましたが、日本の金融機関全体が大変革を起している時期に、生保も今後どうなるかわからない状況でした。相手は外資系の大手コンサルティング会社で、私にアクチュアリー部門を立ち上げてほしいとの依頼でした。外人と何度か面接し話を聞き、私は転職の決心を固め明治生命を99年2月28日付で退職し、3月1日から第二の人生をスタートすることにしました。
8.エピローグ
そして2ヶ月が経ちました。私は、全世界で15万人の職員を擁する世界最大のプロフェッショナル企業、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の日本法人のアクチュアリーサービス部門のディレクターとなり、生保・年金両分野のグローバルレベルの数多くのプロジェクトに巻き込まれ、超多忙な日々を送つています。電子メールは世界中から入り、夜の12時を過ぎて国際電話でニューヨークのアクチュアリーと議論もします。世界に名の知れた一流企業の買収案件に伴う年金債務の評価もPwCグループの監査法人から回ってきます。401kの導入に伴う、システム管理においてはPwCがアメリカで圧倒的なシェアを持つています。日本では3つの巨大な企業連合が編成されて、共同出資でシステム開発を行い、この市場にあらゆる金融機関が参入しようとしています。PwCの戦略は、これらのグループと提携するか、独自の路線が歩むかで、大きなプロジェクトとなっています。生保部門ではDemutualization(相互会社の株式会社への転換)が、資本調達の手段として、多くの会社で現実的な選択肢となっており国内の法整備が急がれていますが、PwCはアメリカでプルデンシャル生命、メトロポリタン生命のdemutualizationの総合アドバイザーとなり、今まさにその壮大な作業が進行中です。私は、米・英の担当のヘッドアクチュアリーと連携し、日本の生保への具体的プロポーザルを行つています。スタッフも英国事務所からは、ケンブリッジ大学卒で、3年で英国ア会の正会員となつた優秀な若手アクチュアリーが派遣され、日本人スタッフの採用も徐々に成功し、事業を立ち上げる喜びの充実感に満たされてます。一方で、コンサルティングアクチュアリーとなったことの自覚も深く感じています。アクチュアリーの行動規範、懲戒規則、実務基準などは、保険会社に務めている限り保険計理人は別として、日常は余り意識することはなかったものですが、独立コンサルティングアクチュアリーとして署名するような立場になると、株主の代表訴訟などを常に意識せねばなりません。規制緩和の時代の流れの中で、自律した職業団体のプロフェッショナリズムの持つ意義が、日本においてもますます重要になってきています。保険会社の一職員として働く場合、会社の人事報酬・ローテ制度が旧態依然のままであっては、アクチュアリーは自己のプロとしてのスキルを自分の意思通りに持続的に伸ばして行くことは本人の努力だけでは極めて困難と感じました(現在、生保のみならず、日本企業全体がHR(Human Resources)制度の見直しを迫られています)。しかし、私に独立したプロフェッショナルとして生きることを可能にしたのは、コンサルタントへの転身であり、その礎を築いたのは23年間にわたる生保アクチュアリーとしての様々な場(海外、主計、年金、ア会事務局)での経験の蓄積であったと思います。私は、自分をここまで育て様々な場面で公私ともにお世話になった明治生命、アクチュアリー会関係者各位及びアクチュアリーの友人と、社内の諸先輩・同僚・若手の方々にこの場を借りて心から感謝の意を表したいと思います。
最後に、生保(社内及びコンサルタント)アクチュアリーの今後について付言しますと、
①伝統的なアクチュアリー領域(保険価格計算、責任準備金評価、保険計理)において、今後とも数学的素養を持つもののニーズは高まる。
②加えて、リスクマネジメント、ALM領域において、確率過程をはじめとする数学的素養が有用になる傾向は、今後更に強まる。
③また、今後、生保の再編が取りざたされており、M&Aにおける生保の企業価値の評価の面でも、アクチュアリー(特にコンサルタント)へのニーズが発生する。
と、思われます。
(1999年3月5日提出)
(よしだひでゆき・プライスウォーターハウスコンサルタント㈱ディレクター)
なお当社代表取締役社長 吉田英幸は引き続き以下を歴任しています。
2010年
AONのHead of Analytics/Senior Advisorとして、生損保会社の分析やカタストロフィモデル制作チームをまとめる。
2012年
i Holdings Co.,Ltdのチーフアクチュアリーとして新設生命保険会社の免許取得業務を担当。
2014年~2018年
Prevoirベトナム生保の保険計理人業務を受託。 リスク管理委員会の委員長や最高財務責任者(CFO)も務める。
公益社団法人日本アクチュアリー会正会員:FIAJ
米国アクチュアリー会正会員:FSA
米国アクチュアリー学会正会員:MAAA
米国コンサルティングアクチュアリー協会正会員:FCA
公益社団法人日本アクチュアリー会元理事、現参与
国際コンサルティングアクチュアリー協会(IACA) 元会長
アジア・パシフィック地域コンサルティング・アクチュアリー協会(ACCA)現会長
(本記事の転載・複製を禁止します。)
2021年度資格試験要領の公表
2021年7月1日に、公益社団法人日本アクチュアリー会より
2021年度資格試験要領が公表されました。
以下をクリックしても、同会の当該ページにアクセスできます。
同日、2022年度資格試験より、
Computer Based Testingへ移行することも公表されております。