「インデックス型変額年金 第2回」
2018年8月10日
アクチュアリー業務を行っていく上でモデルの使用は、ほぼあらゆる課題の計数的な解決に必須になっています。また、諸外国の内部モデルの規定などがソルベンシー要件の軽減につかわれるようなこともあり、モデリングは法令上も一層に重要なトピックになっている。当社では、このような観点から海外のモデリングに関する文献を翻訳し読者の皆様に引用して提供します。以下、「」内は引用。
本記事は、アメリカアクチュアリー会のニュースレター3月号に記載されている記事「Indexed Variable Annuities: The Next Product Frontier for the U.S. Annuity Market」の翻訳である。この記事は3回に分けての配信予定であり、その第2回である今回は、「ASSET- LIABILITY MANAGEMENT(Bond Component)」、「ASSET- LIABILITY MANAGEMENT(Derivatives Component)」、「PRODUCT ISSUANCE」の3節について配信する。
「インデックス型変額年金(IVA): 米国年金市場の次なる商品フロンティア
著Simpa Baiye, Robert Humphreys, David Knipe
資産負債総合管理(ALM)
・債券部分
保険会社は、契約保証金(contract deposits)を確定利付証券に投資することで債券部分をヘッジできる。債券投資は、信用リスク、金利リスク、流動性リスクをとる保険会社に対し利息収入をもたらす。債券投資の保有期間リスク(duration risk)、流動性リスク及び信用リスクは、商品設計、脱退や償還の起こりやすさ、そして、株式指数に連動するクレジットに投資するために取引されたあらゆるデリバティブに対する担保の継続的な必要性を反映するだろう。
・デリバティブ部分
利息付与は、同タイミングで売却したプットオプションからもたらされる収益と同じ額のコールオプションを購入することでヘッジできる。債券投資で予想される利回りは、コールオプションの購入にも貢献するだろう。コールオプションは、取引所または店頭(OTC)で購入できる。
プットオプションは取引所で取引するか、店頭でデリバティブのディーラーと取引することで売却できる。また理論上は、変額年金の保証に関する既存のビジネスのヘッジを支援するプットオプションの需要に対して内部で取引することも可能である。
法的規制は、実利的な資産負債総合管理が定着するほど大きな影響を持っている。例えばニューヨークの条例128では、IVAによる投資を事実上制限している。資産と負債から生じる総合的なリスクの許容度合いを規制により制限することは、商品設計案や資産負債総合管理案に間接的な影響を与えている。
商品の発行
IVAの法定な商品形態はほとんどの場合、修正型最低利率保証付個人年金(Modified Guaranteed Annuity, MGA)である。MGAは、事実上利回りが決められた期間維持された場合のみ保証される据置変額年金である。MGAは、(とりわけ)商品の特徴、IVAのために保証された複数のアカウント(guaranteed separate accounts)を作成すること、そして準備金に充当する資産の市場価値、に影響を与える規制に左右されやすい。
IVAの商品設計の特徴は、保険契約者が契約の満期に頭金の一部または全てを失う可能性があることだ。この理由から、IVAは1933年証券法に基づいて登録が必要である。証券法の下での発行は、準備金に充当する資産が含まれるユニット化されていない(non-unitized) 、保証された複数のアカウント(guaranteed separate accounts)を確立することにより補われる。これらの複数のアカウント(separate accounts)は、関連した州法に従うものである必要がある。
複数のアカウント(separate accounts)と保険会社の一般アカウント(general account)の間での送金(許可された場合)は、支払準備金要件やデリバティブの継続的な担保要件への資金供給、保険給付の支払い、そして保険会社に利益をもたらすのに役立つ。」
次回は、同記事「Indexed Variable Annuities: The Next Product Frontier for the U.S. Annuity Market」の第3回を配信予定である。
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